PROCESS OF ORDERING
お客様から頂戴したオーダーアイテムの素材選びから仕上がりまでの過程について、PIACENZA(ピアチェンツァ)のCashmere100%でお仕立てしたシングルチェスターコートを一例にご説明をさせていただきます。
DORSOでコートをオーダーいただいた場合のご注文からご納品までの流れ、お客様からのご要望やこだわり、私自身が洋服作りに対して大切にしていることについて触れさせていただきます。
今まではイタリア仕立てのブラックのチェスターフィールドコートをメインに着られていたお客様。仕立ての良いコートを長年大切に着用されており、今回は同じ用途として真冬のビジネスで着ることができる2代目チェスターフィールドコートにDORSOの仕立てをお選びいただきました。
初めはブラックのカシミアをお薦めをしておりましたが、コート生地のコレクションをめくり、いろいろとお話をしながら、1代目チェスターフィールドコートもまだ現役で着れることも踏まえてピアチェンツァのコレクションの中から見つけたダークネイビーが今回の最適解であるとお客様と私の意見が一致致しました。
カシミア特有の上質な生地感、カシミアの仕上げによる生地表面の光沢感、ミッドナイトブルーに近い色の深さがあるダークネイビー、真冬に活躍する品質といえる470g/mのウエイト、これらの要素が2代目チェスターフィールドコートの決め手となりました。
先ずは着用していただき、お選びいただいた生地の雰囲気、全体のバランスをチェックさせていただきます。
オーダーでコートを仕立てる場合、コートの丈の設定は特に慎重になる確認事項です。
写真の向かって左は型紙でのコート丈の設定、右は縫い目を解いて長く設定し直したコート丈。縫い目を解いたり、ピンで留めたり、縫い直したり、お客様が違いを見て確認することができるのも仮縫いを行うことのメリットの一つです。
オーダーコート仮縫時の袖丈の設定について、ジャケットのオーダーではシャツとの関連を重要視しますが、コートのオーダーではグローブとの関連について確認をさせていただきます。
グローブをはめる時とはめない時とで袖丈の印象がほんの少し変わりますので、実際の着用シーンについてイメージを共有させていただきお客様に適した袖丈を設定させていただきます。
因みに、今回のお客様はDORSOでコートのご注文は初めてとなります。お手持ちのお気に入りのチェスターフィールドコートも見させていただき、気に入っているポイントについて具体的にお聞きした上でDORSOなりのご提案をさせていただき設計を行います。
シングルチェスターコートが完成致しました。
コートのディテールについて、写真でご説明させていただきます。
ラペルからフロントに繋がる立体的なロール感。
クラシックであり、控えめな印象となるゴージーラインの角度とラペル幅の設定。
腰ポケットのデザインはフラップ付きの切りポケット。
袖口は4個ボタンの本開き仕立て。
コートの丈に合わせてオーソドックスなセンターベント。
仕上がったコートを着ていただき、全体像のバランスについて最終確認をさせていただきます。
中にスーツを着られた状態での着心地の確認、肩回りの設計が適正かを見させていただきます。
ボタンを締めた時のラペルの雰囲気。
仮縫い時に確認をしていた袖丈とグローブとのバランスについて、お客様の着方に合わせた設計が可能なのはオーダーならではの拘りです。
洋服をオーダーすることの魅力は、お客様の理想と作り手の理想を擦り合わせて一着を仕立て上げることだと思っております。
今回のオーダーは、お客様が気に入って長年着用コートの使い勝手の良さがオーダーの出発点でした。
お客様との対話を通して、着用を重ねて気に入られていた理由を探り、お気に入りのコートに対して敬意を払い、DORSOがお客様にとって良いと思う仕立てをご提案させていただきます。
オーダーの出発点は、お客様それぞれで異なります。
頭の中でイメージしている洋服、実際に見たことがある現物の洋服、雑誌の中で見た洋服、Instagramで着ている方がいた洋服、自分に似合う洋服の模索、自分の生活に適した装い、どんな出発点に対してもご相談を喜んでお受けさせていただきます。
出発から到着までの全ての過程において、対話を大切にしてご要望と向き合い、お客様にとっての最善は何かについて考え、お客様の生活に馴染み彩りを与える到着点を目指して大切な一着をDORSOが丁寧に仕立てさせていただきます。
*名古屋トランクショー
2025年1月17日(金)〜 1月19日(日)
*福岡(博多)トランクショー
2025年1月30日(木)〜 2月1日(土)
*熊本トランクショー
2025年2月1日(土)〜 2月3日(月)
*大阪トランクショー
2025年2月13日(木)〜 2月16日(日)